日本におけるランドセルの意味
ランドセルとは、丈夫なつくりと独特の箱型のデザイン、そしてリュック型で通学時の実用性を兼ね備えた日本文化に深く根づいた象徴性を備えた伝統的な通学鞄です。ランドセルは”ランドセル”と日本語では書かれ多くの場合、そのままランドセルと呼ばれますが、日本式リュックサックと翻訳されることもあります。ランドセルの歴史を振り返ると、単なる子ども用の鞄ではなく、ランドセルは日本人にとって「小学校の6年間をともに過ごすパートナー」であり、成長や教育の象徴でもあります。海外の方から見ると、日本文化の歴史を反映するものの一つでもあります。
ランドセルとは?
ランドセルは、日本の小学生が使うために設計された、高品質な構造のバックパックです。主に天然皮革または人工皮革でつくられ、重い教材や学用品を毎日安全に持ち運べるよう、頑丈で快適に背負えるように工夫が凝らされています。四角い形としっかりしたフレーム、両手が空く背負い型のデザインは、実用性と安全性を両立しています。世界でもあまり見ることのない箱型で被せがあるリュックは、日本ならではの通学文化の象徴している鞄とも言えます。
ランドセルの起源
ランドセルの起源は1887年、大正天皇が学習院に入学した際、伊藤博文が贈った軍用背のうが始まりとされています。馬車や使用人の手を借りて通学していた当時、学用品を自分で運ぶ教育方針に転換されたことで、両手が空く実用的な「ランドセル」が導入されました。オランダ語の“ransel”に由来するこの言葉が「ランドセル」として定着していきました。1890年(明治23年)には、学習院生徒心得で背嚢を黒革にすることが規定され、その他サイズなどの学習院型ランドセルの詳細な仕様が決定され、100年以上続く基本の形が確立されました。
都市部への普及
昭和初期には、児童通学服の洋服化に伴い、都市部の男子児童を中心に学習院式の革製ランドセルの使用が始まり、やがて女児にも広がりました。しかし、地方では教科書やノートを風呂敷と呼ばれる四角い布に、学習用品に包んで通学するのが一般的でした。
第二次世界大戦後の普及
戦後、皮革の使用が解禁されると、学習用具の多量化、宿題の増加に伴い、便利な収納運搬具として、ランドセルは小学生にとって必要不可欠なものとなり、全国的に急速に普及しました。当時の ランドセルは牛革製が一般的で、大きさは現在のものより二周りほど小さいにもかかわらず、重さは1600gもありました。 その後、人工皮革製品が発売され、また教科書のサイズが大きくなると(B5版)、ランドセルの大きさもそれに対応するように工夫、改良されていきました。
はじめはヌメ革製のランドセルで、強度はあるものの、重く、雨に弱いという弱点がありました。時代が進むにつれて、耐久性と防水性を備えた天然皮革や人工皮革が開発され、現代のランドセルへと進化してきました。
参考:https://www.randoseru.gr.jp/history/rekishi.html(最終閲覧日 2025年4月7日)
https://www.kabankobo.com/blog/history/(最終閲覧日 2025年4月7日)
なぜ今も残るのか?
1. 機能性の高さ
両手が使えて安全、成長に合わせて背負いやすい構造、そして6年間毎日使える耐久性があります。現在のランドセルはほとんどのものが天然皮革でさえも防水加工をすることで雨に強く、特別なお手入れいらずできれいに長い期間使用出来ます。
2. 職人による進化
昔ながらの形を残しつつ、軽量化や多様なデザインを取り入れており、時代のニーズとともに進化を続ける鞄です。
ランドセルは機能性の高さから、日本の通学習慣にとって一番画期的な存在であることから誕生から100年以上たった今も使われていると言えます。
日本人にとって「ただの鞄」ではないランドセル
ランドセルは単なる通学鞄ではなく、日本人にとって「想いを贈るギフト」でもあります。多くの場合、祖父母が小学校入学を控えた孫に贈るもので、「元気に通ってね」「頑張って学んでね」といった気持ちが込められています。現代では、SNSの発達や、少子化で一人の子どもにより多くのお金をかけるようになったこと、人気のランドセルの売り切れといった状況から、「ラン活(ランドセルを選ぶ活動)」という言葉も誕生しました。
また、6年間同じ鞄を使うという習慣は、物を大切に使う心を育てます。近年では、卒業後にランドセルを財布や小物などにリメイクされる方も多く、まさに鞄工房山本のコンセプトでもある「はじめての一生もの」として、思い出と共にランドセルは生き続けます。
鞄工房山本にとってのランドセルの意義
鞄工房山本にとって、ランドセルは単なる製品ではありません。「大切な人に贈りたい鞄」として、1994年、職人である2代目社長が自分の息子のために、腕によりをかけて、最高の素材を使って、最高のランドセルを作ろうと決意したことが原点です。丁寧に作られた濃紺のランドセルは、その子の個性を引き立て、6年間しっかりと寄り添いました。そのランドセルはいまもなお、当時の輝きを残し、経年変化で味わいを増しています。
私たちは「自分の大切な人に贈るように」一つひとつのランドセルをつくり、技術と素材へのこだわりをもって真摯にものづくりを続けています。
ランドセルを選ぶ準備ができましたか?
最近、嬉しいことに、海外からランドセルを買い求めに来店されることが多くなりました。ランドセルの良さ、魅力が世界で評価されているのだと、私たちは嬉しく思っています。
お子さまの入学祝いとして、あるいはご自身のファッションバッグとして、ランドセルを選ぶ体験は、日本文化にふれる貴重なひとときです。
鞄工房山本のランドセルは、高級皮革コードバンのモデルから、軽量な人工皮革のモデル、そして様々なカラー・デザインまで幅広く揃っています。東京・銀座や大阪・梅田の便利な立地でのお買い物、またお時間がある方は奈良の工房で実際に職人の技を見学してから、奈良本店でお買い物をすることも出来ます。
ランドセルの特長のひとつは、肩ひもを約53cmから74cmまで調節できること。大人も子供も一つのランドセルを共有することも可能です。一緒におしゃれを楽しみながら、ファッションを通じたつながりを育むことができますよ。ご家族で楽しんでランドセルお選びいただけたら嬉しいです。
ランドセルが単なるバッグではなく「あなたの人生を彩る相棒」として、毎日を共にしていただけたら嬉しいです。



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